スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−81−第3部SGH実施報告3 実践の諸相 進学・特進コースのグローバル課題研究は、国際・啓明コースと比べて設定時間が少ない。コースの特性上、特に進学コースの場合はSGHへの動機付けは、国際・啓明コースと比べると低いのが現状である。しかし、限られた時間の中で担任がテーマごとに内容を最適化して実施しており、教室でグループワークを行う時は、活発な議論が行われている。これはSGH指定以前の総合的な学習では見られなかった学びの場面であり、たとえ時間が少なくても実践することの大切さは明らかである。 もっとも、このグローバル課題研究はその特性上、ファシリテーターによる事前準備の充実度が生徒の学びに大きく作用する。特に教科とは違い、教員にとっても日頃は馴染みのないテーマが多いため、戸惑う場面が多々見られる。教え込むのではなく、生徒の発想と議論を促すことが科目としてのグローバル課題研究の目的であるが、その為の準備は、慣れた教科指導の準備と比べて難しい面が多いことも事実である。 この解決方法として、先述したが、週に1度の学年会において次回扱う内容を確認し、どのような手順で進めるか、共通のコンセンサスをとっておくことにしている。資料と略案をもとに、誰が担当しても大枠は変わらないようにしておいた。4 生徒アンケートより グローバル課題研究の学びについて、生徒に4項目についてアンケートを書かせた。複数見られた意見を列挙する。 ア 自分にとって良い学びとなった点は何か  ・班活動で意見を出し合うこと。  ・他人と意見を共有しながら進めること。  ・ふだんは意識しない世界のことを知ることができた。  ・良い、悪いという簡単な分け方ができないことが多くあることを知った。  ・世界ではまだ紛争が多くおきていることを知った。  ・世界には格差が多いことを知った。  ・様々な考えがあり、自分と違うものを受け入れる大切さが分かった。  ・世界の労働者が置かれている立場を知ったこと。  ・日本で暮らす「HAFU」たちの生き様について知ることができた。  ・イスラム教について、少しは分かった。  ・イスラムに対する誤った考えが訂正された。  ・バナナを通して、貧しい国の大変な暮らしを実感した。  ・紛争が無くならない背景について理解できた。  ・世界の事を考えるきっかけになった。  ・グローバル講演会の松村さんの話は心に響いた。  ・修学旅行に向けて、沖縄について知ることができた。  ・沖縄の基地問題について関心を持つようになった。 イ あまり実にならなかった点は何か  ・内容に実感がわかない。  ・自分が出来ることが多くないので実用性がない。  ・内容が難しい事が多かった。  ・教室で学ぶだけで、実体験がなかった。  ・身近な事柄が少なかったこと。  ・知っている事が多かった。  ・沖縄の基地問題を扱ったDVDは描き方が偏っているのではないか。

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