スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−80−第3部SGH実施報告第1学年8月2第3回「身近なグローバル化を考えよう〜映画『HAFU』を鑑賞して〜」 8月の学年出校日を活用した実践。映画『HAFU』を鑑賞し、考えたことをワークシートにまとめる。進学コースは中部大学の大講義室を借りて一斉に生徒に鑑賞させる。 現在の日本では婚姻の20組に1組は国際結婚と言われる。足下から日本がグローバル化をしている現実に対して、当事者でもある私たちがなすべきことを考える。いわゆる「ハーフ」と呼ばれてきた人々に焦点を当て、等身大の同じ人間が、何かにハードルを感じながら生きていることを理解する。第1学年9月2第4回「グローバル人材の声を聴く」①  「グローバル講演会」 SGHとしては独自の行事としてのグローバル講演会であるが、コースとしてはグローバルな視点で考えるという側面から1年間の流れの中で意識させたい。本年度の講演者が本校の卒業生で、かつオリンピック出場を果たした松村亜矢子氏であることは、生徒にとってもグローバル人材は、様々な分野で身近に存在することを理解する良い機会となった。② 振り返り 講演会の翌日には時間をとって講演内容を振り返るワークシートを作成し、世界で活躍するアスリートの「折れない精神」について考えさせる時間を確保した。第1学年11月2第5回「なぜ戦争はなくならないか〜多面的な視点で考える〜」① 「偏見はなぜおこるか〜日本にいるイスラム教徒〜」 急速にグローバル化し、定住外国人が増加している日本。中でも近年はムスリムの増加が顕著な傾向であり、私たちは多くのイスラム教徒と接するようになった。他者との共存において、特に異なる宗教への理解は重要テーマである。しかしISやアルカイーダに代表されるごく一部の組織の活動が、あたかもイスラム全体のイメージとして捉えられる嫌いもある。そこで、日本に住む一般的なムスリムの姿を知ることで、イスラム教が持つおだやかさを理解し、言葉・名称1つが偏見を生む原因となりうることを学ぶ。②  「戦争と平和について考える〜消極的平和と積極的平和〜」 戦争がおこる背景として、ヨハン・ガルトゥングが提唱した文化的暴力や構造的暴力について考える。戦争や内戦に対して無関心でいること、他人事だと思っていることが、実際の戦争(直接的暴力)に正当性を与えてしまっていることを理解する。第1学年11月・1月2沖縄学習の開始①  「基地問題を知る」 ドキュメンタリー映画『いのちの森高江』を観賞し、テレビやインターネットのニュースでは伝えられない沖縄の基地問題・環境問題の一例を知る。沖縄の山原(やんばる)の豊かな生態系が危機にさらされていることや、基地問題は沖縄に住む人々に人間的な分裂と断絶を強いていることも理解する。沖縄学習の導入として活用しており、今回はワークシートの作成や班活動は行わなかった。②  「沖縄戦を知る」 NHKスペシャル『沖縄戦全記録』を鑑賞し、唯一の本土決戦の場となった沖縄戦の惨状を知る。戦争体験者の証言は生々しく、戦場で何がおきたのかを知ることができる。戦争を教科書に書かれた歴史の一幕ではなく、生身の人間が無残な死を迎えた場面として理解する。第1学年2・3月3 進学・特進コースでは、SGH指定以前から沖縄修学旅行の事前学習において、高文研『新沖縄修学旅行』を活用している。沖縄戦、基地問題、自然、歴史、文化の5つをテーマにまとめてあり、大変優れた書物である。この中から以下の3点について読み、ワークシートにまとめをする。時間が確保できればグループワークを行う。① 「沖縄戦」②「沖縄の基地問題」③「沖縄の自然と環境」 修学旅行に向けたより具体的な事前学習は第2学年に入ってから実施する。その事前学習では班の研究テーマを絞るため、その知識背景として第1学年では幅広く沖縄について学んでおく。

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