スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−56−第3部SGH実施報告Ⅰ グローバル課題研究A  参加型学習による国際理解教育(8時間)1 実践の目的とねらい 生徒の国際社会に対する基礎知識向上と、協働して作業をする中でともに考え、協力して解決策を探る力を高めることを意図して実践を行った。カリキュラムAの学びの中心は、異文化への理解を深める導入である。まず自分と他者のつながりに気づき、他者を認識・尊重し、自分を伝え、様々な価値観が存在することを理解する。同時に人権・環境・平和といったグローバル・イシューについての基本を理解する場としたい。2 今年度の変化 (1)本年度も新第1学年の担任団が入学式以前の段階でNIEDからファシリテーターを招き、グローバル課題研究の指導において必要となるアイスブレーキングの手法やブインストーミングなどの参加型学習の実践について体験的に学ぶ時間を設けた。またAカリキュラムのシラバス(指導の手引き)も完成しており、年を追うごとに指導が潤滑に進められるようになって来ている。 (2)一昨年度までは、NIEDのファシリテーターと協力して進めていたAカリキュラムであったが、本年度は昨年度に引き続き初回の導入以外ほとんどの指導を本校教員が担当して行うこととした。これまで4年間の指導のノウハウを本校教員のスキルとして発揮する初年度の活動となった。指導の手引きをもとにどの教員でもファシリテーターとして指導を進められることができた。3 カリキュラムAの実践  全9時間の一覧を掲載すると以下のようになる。回・タイトル日時内容・ねらい第1回世界と肯定的に出会う~人と世界の多様性と同一性~4月20日3.4限目・参加型で学び合うワークショップのポイントを体験的に理解する。・人や世界の多様性を実感し、違いを肯定的に受けとめると同時に、心の同一性にも気付く。・人の価値観は多様であり、一方の価値観の押しつけは対立につながることに気付く。第2、3回世界と自分のつながり~グローバル化の光と影~4月23日7限目5月7日7限目・自分と他者、自分と世界は、どこでどのようにつながっているのか、ふりかえり確認する。・世界と日本を俯瞰し、グローバル化による恩恵は何か、恩恵に預かっている人は誰かを理解する。・恩恵がある一方、グローバル化した世界は多くの課題を抱えていることに気付く。第4回貿易ゲーム5月18日3.4限目・ゲーム内の主体的な活動とその結果を通して、いかに世界が不平等な状況であるかを体験的に理解する。・この不公平な構造をなくすために何が必要か考える。第5.6回世界の現状と課題~グローバル・イシュー5月21日7限目5月28日7限目・グローバル・イシューを、人権(貧困)と環境(持続可能性)の視点から掘りさげ、つながりに気付く。・問題の現状を知り、原因を探り、解決に向けて必要なものや役立つことを考える。・様々な参加型手法を活用し、協力して学ぶ力、ファシリテーションの力、システム思考を養う。第2章 グローバル課題研究 3年間のカリキュラムと実践

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