スーパーグローバルハイスクール研究報告書
66/168

−50−第3部SGH実施報告1) 授業への関心度(図4)  「ロジカルシンキングの授業は面白く関心が持てましたか。」という質問をしたところ、「とてもそう思う」「そう思う」という肯定的回答が50%、「そう思わない」「全くそう思わない」という否定的回答が50%であった。2) 授業を通してできるようになったこと(図5)  ロジカルシンキングの授業を通してできるようになったこと(表2)は「聞く」80%、「話す」が60%だった。2年生はディベートが多かったため、人の意見を聞いて話す機会が多かったからであると考えられる。  一方、「協働学習」については45%であった。ディベートはグループに分かれて勝敗を決める形式で行ったが、グループ内で役割を分担したものの協働するという意識にはつながらなかった。その要因は、特定の生徒が発表をするように偏りがあり、消極的な生徒に発言の機会が与えられなかったことが考えられる。  グループワークにおける評価として結果だけではなくそのプロセスとして協働的な学習のプロセスの視点を評価に加えることが今後の課題であると考える。例えばパフォーマンス評価を取り入れるなどして、グループ学習への貢献度や参加を評価する観点を加えることも必要であると考える。3) ロジカルシンキングの授業の意義(図6)  ロジカルシンキングの授業の参加の主体性傾向を調べるため、科目の国語の授業の授業姿勢と比較した。  その結果、主体的傾向についてはロジカルシンキングのほうが15%上回っているという結果となった。  また、自由記述ではロジカルシンキングについては「話し合う機会が多い」「自分で考えて文章を作る」「国語は一方的な気がするがロジカルシンキングは話し合いもあり一方的ではない」「国語は静的で受け身」などという回答があった。  このことからロジカルシンキングは、生徒は自分の考えを言語にして伝えて、話し合うということが国語とは違うと感じているようである。自分の言いたいことを考え、それを伝えることがロジカルシンキングの目的であるのに対して、国語の授業では書かれている文章を読んで読解をして理解を深めるということが中心的な活動になっているからであるとも考えられる。自分の思考が中心にあり、それを他者に言語にして伝えるというプロセスにロジカルシンキングの特徴があると言えるだろう。さらに2年生については、ディベートを通して自分とは反対意見に対しての意見を考えることが加わる。これは自分とは違う価値観や意見に耳を傾けたうえで、考えることを通して、多角的な物事の見方や考え方ができる機会であった。  ロジカルシンキングの授業では他者とのやりとりが多く、その中で自分とは違う他者の多様な価値観に触れることや物事を多面的かつ柔軟に捉えることが必要になる。ディベートに加えてお互いの価値を尊重したうえで対話するような深い話し合いができるようになることが今後の課題である。このような学習活動は、国際社会において多様な価値観を尊重しながら、人々と協働、共生することのできる人間を育てていくためには意義があると考える。図4図5図6

元のページ  ../index.html#66

このブックを見る