スーパーグローバルハイスクール研究報告書
43/168

−29−第2部SGH研究開発実践の評価(データの収集と分析)  SGH指定期間前後の、英検の平均取得状況を比較すると、3級や準2級の取得率は減少したものの、2級、準1級、1級という上級において、明らかな増加が見られた。この増加傾向はSGH科目における英語使用頻度の増加、「グローバル課題研究」の研究内容を英語で発表したり、英語で論文を書いたりする過程において、いままで学校教育内で使用してこなかった単語や表現を使い、英検の2級以上の力を身につけていったことが挙げられる。指定期間前において、生徒は資格試験にあまり興味関心を示さず、英検準2級で満足していたものの、指定期間内においては、自分が身につけた英語力を試す場として英検を利用し、英検2級で満足することなく、さらなる高みを目指そうとする意識が芽生えた。そういった意識改革が生徒から自発的に生まれ、友人が2級を取得したのであれば、自分も2級を目指したい、またそれ以上の級を取得したいという連鎖を呼びこの結果になった。  確かに、SGH指定期間前後の学力を比較しても、指定期間内の生徒のほうが学力は上であり、その学力の差が、英語力の差にも繋がっている。指定期間前は、英語にかける時間を他教科にかけなければならないという状態であった。しかし、指定期間内の生徒は、母語の言語処理能力が高く、以前よりスムーズに論文を作成したり研究内容を発表したりすることができた。地歴公民の学力は、研究内容を深める際の礎となり、研究の推進力となった。数学の力は、論理的思考力に繋がり、英語の基礎学力の高さは、高校時代の英語力の向上へと繋がった。基礎学力の高さは時間の余裕を生み、英語の能力向上へ時間を使うことができ、結果として英語力の向上が以前よりも高くなったことで、英検2級以上の取得へ繋がったと思われる。 43%79%66%10%1%42%86%53%3%0%0%10%20%30%40%50%60%70%80%90%100%3級準2級2級準1級1級SGH指定期間前後の英検取得状況(平均)指定期間前(2010年~2014年)指定期間中(2015年~2019年)

元のページ  ../index.html#43

このブックを見る