スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−27−第2部SGH研究開発実践の評価(データの収集と分析)Ⅱ 英語力の伸長(国際コースの英検・GTEC)をはかるデータ推移1 本校における英語力の目標  本校のSGH対象生徒の卒業時におけるCEFR到達レベルはB1〜B2を100%と掲げてある。本校における英語力を計る試験においては、実用英語技能検定(以下英検)、GTEC CBT(以下GTEC CBT)とGTEC for students(以下GTEC Advanced)を採用している。この3つの資格試験において、英語4技能資格・検定試験懇談会が発行している「資格・検定試験CEFRとの対照表」(http://4skills.eiken.or.jp/qualication/comparison_cefr.html)に従いCEFRのB1、B2レベルを換算すると、英検においては2級以上、GTEC CBT とGTEC Advancedにおいては960点以上の取得が本校のSGH対象生徒の卒業時における目標となる。2 SGHにおける英語力について  もともとSGHは「高等学校等におけるグローバル・リーダー育成に資する教育を通して、生徒の社会課題に対する関心と深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、もって、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーの育成を図ること」(https://www.sghc.jp/より抜粋)を目的としている。SGH自体が英語力の向上を第1目標としておらず、コミュニケーション能力や問題解決能力の向上を目指したものであり、そのツールとして英語を使うことが目標であると考える。英語が使用できることと、英語の資格試験で合格もしくは一定レベルの英語力を持つことは、別のことであり、例えば英検2級を取得している生徒が英語での発信力が高いとは言い切れないのも現状である。一概に、資格を取得したことが英語を使用できることにはならない。故に、英語使用者を増やすためにSGHの活動があるわけではなく、SGH活動を通して、一定の英語力を身に付けることが目標であり、それが英語の資格試験だけで測られること自体がおかしいのである。英語力を計る資格試験やCEFRを使用して生徒の一定量の英語力を見ることに間違いはないが、その資格試験の取得割合を目標に掲げることは、資格試験の本来あるべき形からは遠いことである。英語を第2言語もしくは第3言語としている国々において、就職や昇進の資格、大学入学のための資格として英語の資格試験を活用することはあるものの、本来、資格試験は、本人が必要だと思ったときに取得するものである。英検やGTECなどの資格試験は、生徒にとって、英語学習を継続していくよいモチベーションになることは間違いなく、生徒本人が自発的に目標を掲げ、そこに向かって資格試験に取り組む意識を育むことこそSGH活動の目標として掲げるべきであったように思う。  また、SGH対象生徒も英語だけの能力の定着を目指しているのではなく、論理的思考力や批判的思考力の向上、探究学習を通じた研究内容の知識の定着や情報収集力の向上、グループ研究における協働作業力の向上など、様々な能力の向上を目指していた。確かに、英語力を見るうえでは、GTECや英検などの資格試験を一つの指標として捉えることは可能であると思われるが、SGH活動を通して得られる能力は、英語力だけがクローズアップされており、その他の能力においての指標は示されていない。その他の能力がしっかりと計れる資格試験や方法を研究し、今後の教育活動に活かしていきたい。3 英検の推移  SGH指定期間の本校の最終目標はCEFRにおいてB1〜B2を100%、つまり、卒業までにSGH対象生徒全員が英検2級の取得を目指していた。しかし、指定期間の5年間でその目標には達成できなかった。次の頁から指定期間前後の英検2級取得率と過去10年間の英検取得率の平均の推移を示す。

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