スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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はじめに 本校のSGH事業は本年度をもって指定の₅年を終えることになります。これまでの取組を振り返ると試行錯誤の連続でしたが生徒の皆さんの頑張りのおかげで本年最終年を迎えることができました。心より感謝します。現時点ではまだまだ落ち着いて大枠の成果を評価する段階ではありませんが、生徒の皆さんだけでなく我々教員にとっても新しいことに挑戦した非常に刺激的な₅年間でした。今後はこれまでの取組を継続し更に発展させていかなければならないと考えているところです。 今回、取組の成果物の一つとして、論文集を作成しました。論文は自分の興味・関心にもとづきテーマを定めて作成しましたが、人に決められたテーマについて調べ学習する時より自分の興味・関心に従って学習を進める時の方が「やる気」も大きく違うはずです。また情報化のおかげで自分の興味・関心があれば、専門的な知識は得やすく、そのため自分の主張を深めていくことが容易な時代です。もちろん皆さんの論文は専門的な基準からすればまだまだ初歩的なものではありますが、どれも力作で探究心の旺盛さや将来の可能性を感じさせてくれるものばかりです。ただ情報収集が容易なのでややもすると様々ある他人の意見の中から一つを選び、それを自分の考えであるかのように作り変える傾向があることも事実です。それは公的で専門的な場面では厳しく制限されなければならないことであることは言うまでもありません。 しかし、ある物ごとを自分の言葉に置き換えて語ることには大きな意味があります。そもそも「学ぶ」ことは「真似る」ことだとすれば、「学習」とは過去の知識を知り経験を積み重ねる作業と言えるからです。そして「学習」は知れば知るほど益々疑問が生じる作業でもあります。湧き出る疑問の答えを追い続けることがまさに「学習」であり「研究」と言われるものなのです。その意味で今回の論文作成が皆さんにとって、学習者として「学び」の高みを一歩上る経験になったのであれば望外の喜びです。そしてそれが大学で自分が志す分野の学修のきっかけとなり、ひいては学問の扉を叩くことになることを願っています。ぜひ皆さんには今後とも自分の興味・関心を大切にして主体的、積極的な学習に取り組んでいただきたいと思います。 最後になりますが、生徒の論文作成に当たってご指導をいただきました先生方、そして関係各位のご尽力に対し紙面をお借りして深く感謝申しあげます。2020年1月  校長 二村 啓

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