スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−15−第1部SGH研究開発完了報告書後なかなか成果を残すことができなかった。1,500人を超える全校生徒、100人近い職員にとっては、SGH事業は、多様な取組をしている本校の教育活動の一部にすぎない感覚であったと思われる。しかし、G20名古屋外相会合への本校の生徒の参加や、海外生徒を招いて実施しているHARUHIGAOKA SDGs GLOBAL MEETING の成功など、SGHの活動がさらに深まり、問₈、問₉においても肯定的な傾向がうかがえる。 なお、上記アンケート項目の問₅においては、(5)学校における他の要素の変化(授業、生徒等)の項目で述べる。  (4)−2 保護者の変化について 毎年、本校の入学生に対して、「本校に入学した理由を尋ねるアンケート」を実施している。本校のSGH事業の主幹コースである国際コースの保護者アンケート結果は以下のとおりである。◎本校を選んだ理由として「SGHに指定されているため」と答えた国際コースの保護者の割合2016年度入学生の保護者27.7%2017年度入学生の保護者30.7%2018年度入学生の保護者59.1% 2019年度入学生の保護者51.9%  上記の数値に表れているように、SGH指定後₃年が経過し、「校内の指導体制の定着」と「本校のSGH事業内容の周知」がなされるにつれて、本校のSGH事業に対する保護者への評価は次第に高くなっている。 (5)学校における他の変化(授業、生徒等)  (5)−1 授業の変化について 前述の教職員アンケートを用いて、グローバルコンピテンシーの₆つの資質について授業で扱うことが可能な項目を₅教科(国語、数学、英語、理科、地歴公民)の担当者全員にアンケートで尋ねた。国語、数学、理科、地歴・公民においては「論理的・批判的思考力の育成」が最も多く、英語においては「₄技能を通じたコミュニケーション能力の育成」が最も多かった。そのアンケート結果を踏まえて、教務部主導にて指定₃年目より、年₂回実施している研究授業のテーマに設定し、授業の変化を目指している。「論理的・批判的思考力の育成」は、新学習指導要領の内容に沿うものでもあり、記述、論述、発表等を授業に盛り込むなど、教員の授業への意識変化につながっている。  (5)−2 生徒の変容について SGH事業に取り組む前後の変化について、本校の₄コースの各主任に聞き取り調査をお願いした。以下(ア)~(オ)が、生徒の主な変容である。  (ア)進路選択への思考の変化 SGH事業の主幹コースである国際コースは、その多くの生徒が外国語学部を志望し、SGH指定前の志望理由は、「英語がやりたい、英語ができるようになりたいから外国語学部に進学したい」という回答が一般的であった。しかし、SGH指定後は、「国際協力の分野で社会に貢献したい。できれば国連の仕事につきたいので、外国語学部で国際関係を学びたい」、「世界の経済格差を学ぶために経済学部に進学したい」、「危機管理、リスクマネジメントを学ぶために社会学部へ進みたい」、「ハノイ国家大学へ進学し、ベトナムについてもっと知りたい」など、進路選択の志望理由が多岐にわたるようになった。生徒は、「グローバル課題研究」を通じて社会に対する視野が広がり、大学で学ぶ動機が深まったと考える。  (イ)自国文化への意識の高まり SGH指定前は、オーストラリア、シンガポールの海外研修が異文化に触れる主な学習機会であった。SGH指定後、インドネシア、ベトナム、タイ、韓国など、海外の人々と交流する機会が増え、海外の文化に触れる機会が増えた。海外の人々との交流を通じて、自国のことを異国の人に伝える機会が増え、自分の国についてもっと知らなければいけないという意識が高まっている。また、海外か

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