スーパーグローバルハイスクール研究報告書
147/168

−129−第4部生徒による成果物 図3と表より発電コストの中で、太陽光は2010年では発電コストが30円/kWh以上と高い。しかし2030年には量産効果などで、現在の1/2から1/3に下がる可能性があるのだ。木質バイオマスの発電コストは、未利用間伐材を原料としている。専焼発電は17.4~32.2円/kWhと高いが、石炭混焼だと9.4~9.7円/kWhとなる。しかし、石炭灰にはセレンやヒ素といった有毒物質が含まれるだけでなく石炭に含まれる放射性同位体が石炭灰の中で濃縮され、人体に影響があるとされており図1に示されている通りリスクが100万年たっても低くならないことがわかり、管理が難しい。そしてこの灰は、公共施設の土壌改良、コンクリートの添加剤として使われるなどしており、それらは公園などにも使われているため子供への影響も懸念される。4.まとめ 私たちのグループは、核融合発電を重要視して調べた結果、実現されていないその理由や問題点を大きく分けて二つ発見した。 一つ目として、開発コストの問題である。核融合は大規模なため研究施設はどうしても巨大になり、様々な最先端の設備の操作が必要なため人件費も嵩む。この解決方法としては、既に行われているように国際的に開発していくことで1国当たりの負担は低くなる。商業利用では、燃料が海水ということで燃料費がただなので、それを考えると十分元が取れると考えらえられる。 二つ目の問題は低レベル放射性廃棄物の処理についての問題だ。しかしこれに関してはある程度解決策も検討されている。放射性廃棄物については原子力発電の例もあり、国民の関心が高まっている。そのため、うやむやにすることも難しく、国はこの問題の解決策を具体的かつ分かりやすく掲示しなければならない。肝心の対策だが現在、様々な研究者が低レベルの放射線を外には出さない容器となる材料を探している。さらに動物や細胞レベルの実験研究結果からは、少ない線量を長時間にわたって受ける場合は、合計が同じ量の線量を短時間に一度に受ける場合より影響の発生率は低くなる傾向が明らかになっているなどの研究結果もでている。そして、核融合発電から出る放射能廃棄物の処理は100年の保管で材料として再利用できるので、管理が行き届く可能性が非常に高い期間だ。そのため、環境を整えれば十分保存できるものだとは言える。 このような問題点もまだまだ多い核融合発電だが、私たちの研究の観点からみると素晴らしい発電方法だといえる。安全性はバクテリア・重金属などによる放射能除去などの研究もされており改善するとみられるのだ。ただ、本格的な稼働にはまだまだ時間を要するだけでなく、国民に核融合発電は安全なものだと理解してもらうための説明もする必要がある。なぜなら国民は、東日本大震災の影響もあり、「核」という単語についてかなり悪いイメージを持っている。なかには放射能についてあまりよく知らないが周りのみんなに合わせているという人もいる。そのような人たちの先入観を払しょくするために今後、様々な対応を考え試行していくべきだ。そうして核融合発電先進国に日本がなることで他国に核融合についての部品、技術を販売するなどして核融合にかかったコストの回収ないしはこの国の更なる発展への資金にそしてエネルギー自給率の改善の大きな一歩となるだろう。 以上の理由から私たちのグループは核融合発電を推奨する。今後日本が核融合研究先進国として他国を引っ張りつつ問題点をいち早く解決することが大切なのだ。 5.おわりに 研究を通して、欠点がなさそうに見えるものでも、テレビや新聞などでとても良い物だと持てはやされているものでも、自分でよく調べてみると意外に欠点が多いこともあった。そのため、どんなものでも一回自分自身で調べてみると思ってもみなかった発見や問題が見つかるかもしれないので興味を持ったら調べてみる習慣をつけてみようとも思った。そして、発電とは莫大なエネルギーを使うものであるから、専門家だけでなく私たち一人一人が問題はないか、悪利用されていないかを監視する必要を感じた。

元のページ  ../index.html#147

このブックを見る