スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−124−第4部生徒による成果物カンボジアと電線の日本の違い カンボジアの家庭で使う電圧は220Vですが、カンボジアでは通常、郊外の変電所で大きな電圧から220Vに落として、そこから各家庭まで電線を引いているため変電所から何本も電線が引かれてしまい、結果としてあちこちの電柱に凄まじい電線のカタマリ化となっています。一方日本では、家庭のすぐ近くまで大きな電圧(6600V)で引いてきて、家庭に引き込む前に電柱の上にある柱上変圧器というので100Vまたは200Vに変えて各家庭に配られるので、変電所から家庭まで何本も電線が引かれるということはありません。家のすぐ近くまで大きな電圧が来ているので、送電によるロスも少なく効率的です。配電設備の問題の対策について ※⑤ 送配電事業者は一般的に、事業環境の変化に適切に対応し、収入の減少リスクを踏まえつつ、継続的なコスト削減を図っていく必要があるといわれています。 私たちの研究テーマである「カンボジアの配電問題」に関していうと、資金不足、市民が無断で電柱に引込線を接続しているなど、国や市民の問題解決に対する意識の低さが問題であるとわかりました。中部電力さんからの情報によると、カンボジアは資源が豊富であるが、「市民が無断で電柱に引き込み線を接続している」や「配電ロス」などの問題があると聞きました。これらの情報と中部電力さんから教わった「発電の仕組み」を用いて自家発電所を持つ企業が余った電気をそのまま家庭に送ることができる配電設備の技術を伝えたり、停電の原因である電線の過多の元凶の「市民が無断で電柱に引き込み線を接続している」という問題や「配電ロス」などを解決するため、その取り締まりを促すなど私たちが解決することのできない資金面ではなく、中部電力さんの技術面や、根本を取り締まる提案を出すなど、中部電力さんの技術や情報をもとに私たちの研究課題に活用していきました。 まず初めに「市民が無断で電柱に引き込み線を接続している」という問題についてです。日本では引き込み線を無断で接続する、盗電は犯罪としています。電線が大量に引き込まれることによって電圧が低くなり、電気の質が下がってしまいます。結果として送電塔から遠くなるにつれて電気の供給が不十分になり、停電が起こってしまうという問題があります。しかしカンボジアでは盗電に対して積極的に取り締まっていません。この問題の対策として、「整備保守点検の強化」「各種法整備」「整備形成基準の策定」などがあげられます。盗電をしっかり取り締まり、なおかつ良質な電気を市民に送ることが、この問題に対しての解決策のひとつであると私たちは考えます。 次に、良質な電気を市民に届ける方法についてです。私たちは「配電ロス」を無くすことではないかと考えました。配電ロスとは途上国の共通の課題であり、先ほど言った通り送電塔から電柱につなぐにつれて抵抗が大きくなり電圧が低くなってしまうことを言います。すべての電柱に均等な電圧を送ることによって良質な電気を届けることができるのではないか、と私たちは考えます。しかしカンボジアでは、工場の電気の電圧を上げずにそのまま家庭に送っているので、その過程で電圧が下がってしまい、結果としてすべての家庭に十分な電気を送ることができなくなってしまっています。この具体的な解決策として、抵抗の少ないアルミ線の導入や、送電電圧をあげることや、コンピュータによる最短距離での送電方式を取り入れるなどがあげられます。 これらの技術を相手の文化を尊重したうえで伝えることによって、カンボジアの問題である、「市民が無断で電柱に引き込み線を接続している」や「配電ロス」を解決できるだろうと私たちは考えます。しかし途上国では日本の電気設備技術基準に相当するものが未整備であることや、整備されていたとしても尊守されていないなどの問題がいまだ残っています。まとめ 私たちは「カンボジアの配電問題」をテーマに調べてきました。カンボジアの大きな問題点として「電柱に引き込み線を接続している」などの市民による問題点や、「電気・電圧を上げずに送電していることで配

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