スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−122−第4部生徒による成果物カンボジアの配電問題1班 大塚健輔 福島一斗 山田理斗 田中友梨 皆さんは、日本に住んでいて「急に電気が使えなくなった」とか「近所の電線が弛んでいる」などの問題を体験したことがありますか。日本に住んでいる多くの人は、このような問題を経験したことがないと思います。それは、日本が配電問題の解決にあたる技術力があることを表していると思います。例えば、都市部などの、電力需要の高密度化が一層進む地域には、高品質・高信頼度の電力供給の推進や地中化という配電線を地下に埋め、安全で快適な通行空間の確保や災害の防止、良好な住環境の形成を目的とした国や地方自治体が進める政策が行われている。このような日本に対し、他国では「毎日のように停電が起きる」、「自分の家の電線がどれか分からない」などといった配電・送電問題だけでなく、経済活動に影響を及ぼし、安定供給もできない多くの問題が取り上げられている国も少なくありません。※① その中でも、今回私達が焦点を当てた国はカンボジアです。カンボジアは、先ほど挙げた例も含め、配電に関する問題が世界の中でも特に多いです。カンボジアは約1601万人の人口で、電気利用者も比較的少なく、十分に改善出来そうな中で、なぜ電気料金が割高なのか。配電環境が良くないのか。今日は、このような数多くの問題を抱えている現状から課題に対してまでの解決策を「カンボジアの現状」、「日本とカンボジアの違い」、「問題に対しての解決策」「まとめ」の大きく三つに分けて話していきたいと思います。カンボジアの現状 カンボジアでは頻繁に停電が起こっています。停電の主な原因としては、配電問題と電力不足にあると我々は考えました。 まず、配電問題について話したいと思います。カンボジアの配電が問題になっている理由は、主に2つあります。1つ目は、1つの電柱に多すぎる電線がつながれているということです。原因の一つは、カンボジアの住民が勝手に電柱に電線を引いてしまっていることがあげられます。日本ではこれは犯罪に当たることですが、カンボジアでは当たり前のように起っています。さらにこれはとても危険なことで、電線を多くつなぐことで電圧が過剰にかかってしまい、そのせいで熱が多く生じて最悪の場合火災がおきます。いわば、タコ足配線と同じ状態になってしまいます。また、電線をつなぐ際に、日本の場合は設備の配電可能な電気の量の基準値が定められていますが、カンボジアの場合はそれが決められておらず、このような現象が起こっています。この現象を解決するために、カンボジアの電力会社はこの基準値をしっかりと定める必要があると思われます。また、このような盗電はカンボジアだけでなく、多くの発展途上国で行われています。2つ目は、配電ロスです。配電ロスとは、発電所で発電した電気を一般家庭や事業設備などに送電する間に、変電所、送配電線の抵抗によって一部の電気エネルギーは熱や振動として失われてしまうことです。また、電圧が小さいほど、送るまでの距離が長いほど配電ロスが大きくなります。そのため配電ロスを解決する方法は、高電圧で電気を配電することと、電線の長さを長くしすぎないことです。日本では高電圧で配電をする技術がありますが、カンボジアではまだその技術が発達していないためこのような配電ロスが起こっていると考えられます。次に、電力不足に関する問題です。近年、カンボジアの都市部では、商業施設や高層住宅ビルの建設ラッシュが続いて急激に電力需要が続いており電力が不足しています。また、乾季の異常な気温上昇により水不足が起こっております。水力発電が主流のカンボジアでは、その影響もあって水力発電が十分に行えずに電力不足に陥っています。これは、カンボジアが水力発電に頼りすぎていることが原因です。電力を安定供給するためには特定の発電方法に頼らず複数の発電方法をバランスよく組み合わせたエネルギーミックスを行う必要があります。様々な発電方法で発電を行い、もし一つの発電方法が何らかの影響で使えなくなった時にその分を補うことができる発電方法を確保する必要があると思います。つまり、発電方法のバランスをとることにより、解決ができると思います。※②

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