スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−120−第4部生徒による成果物たしていないとされている。これは建設に不備があるのではなく、現地の予算に合わせた結果なのである。仮に、日本で稼働している発電所と同じ性能のものをインドネシアに設置しようとすると莫大なコストがかかる。しかし、この先進国と肩を並べることとなるインドネシアはこのような環境対策に投資し、環境対策を行うべきだと考えた。なぜなら日本も高度経済成長期に、現在インドネシアと同様の公害問題を抱えていたからである。日本の例を参考にすれば、インドネシアで公害被害を防ぐことができると考えた。 (3)JERAの今後の参入方法 この企業がインドネシアで火力発電所を建設する上で、大切になってくるのは地域住民との意見交換である。具体例として、住民に対し説明会を開くなどの対処法などが考えられるが、実際に2007年に住民説明会が開かれた事実がある。しかし、参加したのはたった20人ほどの住民のみで、広く行われた説明会とは到底言い難い結果となっている。この経験を踏まえ、インドネシア政府と一丸となり官民一体となって、住民への説明を行っていくことが今後のより良い関係につながっていくと考えた。それにより今後の住民トラブルの発生を抑え円滑に事業を進めることが可能となる。インドネシアの場合、深刻な環境問題を解決するために、周辺住民の意見を中心に取り入れることに重きを置くこととなる。主な公害として大気汚染があげられる。日本の発電所に用いられているものとして、構内排水対策・温排水対策・脱硫装置・脱硝装置・電気集じん機があり、JERAはこれらを使用することで日本の環境基準を守り国民が安心して暮らせる社会を維持している。ほとんど環境対策がなされていないインドネシアにこの技術を導入することで、環境問題が大幅に解決に向かうことは明らかだ。さらに、発電機自体の機能を上げるという、発電機の効率を上げることが可能になれば大気汚染の問題を収束することも難しいことではない。この方法の利点は発電機の長期利用が可能になることだ。発電効率も上がると同時に無駄な発熱を抑えることが可能となる。長期的に見たときに、初期費用よりも維持費の方が割高になることを考慮すると、限られた国家予算で行う場合この方法は有用的だと考えた。 図⑥ 日本の火力発電所の環境対策の一例

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