スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−119−第4部生徒による成果物いての大規模送電だ。ジャワ本島に多数の発電所があるためその余剰を送るという方法だ。この2つの方法を用いて、解決することが十分に可能であると考えた。(2)日本企業のインドネシア進出 ① 日本企業の現実 インドネシアは、労働力の高さ(人口ボーナス)や資源の豊富さから日本企業から経済成長を見込める国として注目されている。それは、進出企業数に表れている。異なる業種の2000を超える企業が大企業のみならず中小企業も多く参入している。インドネシアの経済は上向きで、比較的安定している。その一方で、各分野で問題点は残っており解決を急いでいる。現在、日本企業に求められるのは確かな技術力とそれと同じくらい地域住民の声を聞き取り入れることだと考える。なぜなら、電力関連の問題は電力普及の地域格差や、石炭火力発電による環境汚染などの課題があり、解決に時間がかかるとされているからだ。日本はインドネシアに対して、火力発電所の建設を行っているが、杜撰な政府の計画により、建設コストの高さや環境への対策などの詰めの甘さが浮き彫りになっている。現に、インドネシア国営電力会社PLNは電力の需要の伸び率に関して誤算を生み、余分な予算がかかることになった。周辺住民のニーズにあっていない形で計画が進んでいるのが現状だ。その結果、建設に対する地域住民の反対運動が起きそれにより建設が延期になることもあった。これらの問題に対処する方法は、高いレベルの技術の輸出と現地住民との良好な関係を築くことである。② JERAのインドネシア進出 私たちはJERAのインドネシア進出に着目した。この企業は事業の一環で既に現地に子会社を設置しており、発電所も機能している。チレボン発電所とパイトン発電所の2か所だ。この2つの発電所はJERAが誕生する前から東京電力と中部電力がそれぞれ開発していたもので、チレボン発電所は東京電力が2005年に事業を開始したもので超臨界圧と呼ばれる当時の最先端の技術を使用している。一方、パイトン発電所は2015年に中部電力が事業開始したもので、超臨界圧と呼ばれるチレボン発電所よりも新しい現在日本でも利用されている技術を輸出している。この2か所の発電所はジャワ島に位置し、どちらもジャカルタに電気を供給している。そこで問題になるのが、二酸化炭素の処理や発生物質の海への垂れ流しによる公害だ。それぞれこの事業に対する改善点は、環境対策である。JERAの環境対策は主に6つに分かれていて、日本の環境基準を満たすものになっている。しかし、インドネシアのチレボン・石炭火力IPP事業やパイトン・石炭火力IPP事業はインドネシアの環境基準を十分に満図④ PLNの販売電力量(GWh)図⑤ チレポン石炭火力発電所をめぐる主な経緯

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