スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−118−第4部生徒による成果物本論(1)インドネシアの現状  ① インドネシアの発電比率 インドネシアの発電割合はグラフの通りである。インドネシアの電力供給の基盤となるのは、発電コストが最も安価で、二酸化炭素の排出量が最も多い石炭火力発電である。この火力発電はインドネシア国内のベース電源として機能しているが、自国の資源である石炭を活用しきれていない現状がある。インドネシアは2007年エネルギー法を成立させ国内供給の確保を外貨獲得よりも上位の目的に掲げ、2009年鉱物・石炭鉱業法は、政府が毎年の鉱物生産量と輸出量を設定する権限をもつことを定め、たとえば2011年の石炭については国内供給義務が24.17%に設定されている。しかし、ジョコ政権下でエネルギー政策の転換が見られ、国内の石炭需要に対応するため、国内供給を優先する政策を打ち出している。この政策によってインドネシアは現在生産量のうち82%を国外に輸出しているが、2040年には52%まで縮小すると発表している。これらの理由より、この先石炭の国内供給量が増える見込みのあるインドネシアには石炭火力発電を強みとするJERAは比較的参入しやすいと考えられる。現段階で、JERAはインドネシアに2か所の火力発電所を建設中である。2か所の火力発電については詳しく後述する。  ② インドネシアの電力供給量 現在インドネシアでは、電力需要量が急増しており、それに対応するために供給量も増加している。しかしながらその供給量には地域差がある。電力供給の地域差が生じることで、問題点が浮上してくる。貧富の差の拡大が助長されることだ。貧富の差が助長されることとなる地域差が生じる理由を仮定したものが2つある。1つは、そもそも郊外には首都ジャカルタほどの需要がないという仮説。2つ目は首都ジャカルタに電力供給が一極集中しているのが原因で郊外に十分な電力供給がなされていないという仮説だ。図③を参照すると、他国に比べインドネシアの国民1人当たりのエネルギー消費量が他国に比べ極端に少ないことが見て取れる。これは、インドネシア国民全員に平等に電気が配電されていないことを意味している。 図④のグラフは、インドネシア国営電力会社(PLN)の配電割合を示すグラフだ。このグラフを参照すると、2012年の合計で173,991GWh生産されているうちの128,513GWhがインドネシアの首都があるジャワ島と観光地であるバリ島の2島でインドネシア全国の消費量の75%以上を消費していることがわかる。2019年現在の電力普及率を地域別にみると、西ジャワ州が99.9%、バンテン州が99.0%、ジャカルタ特別州が98.8%と東部が全般的に高い。一方、西部に位置する東ヌサトゥンガラ州が59.0%、パプア州が48.9%となっており、東西で格差が生じている。※1  ③ 解決策 2つの解決策が考えられた。1つは、西部地域への大規模発電所の建設。現在インドネシア国有電力会社は電力事業への参入に対し比較的寛容である。したがって首都移転を控え未開発地域の開発が急がれているインドネシアに参入することは他地域に比べ容易である。2つめは、海底ケーブルを用図③図②

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