スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−114−第4部生徒による成果物【2】 現在の一万円札の代名詞とも言える人物は福沢諭吉である。2024年に日本の紙幣のデザインが変わることになった。新たな一万円札の顔となるのが渋沢栄一である。 日本資本主義の父とも呼ばれる彼は、日本経済の基礎を作り上げた人物として内外から高く評価されている。日本の経済成長が鈍化している今、彼のような強力な資本家がどのようにして日本経済を育てたのか自分なりの目線で評論していきたいと考える。 彼は天保11年(1840年)、幕末に現在の埼玉県に生まれた、彼の家は豪農で幼いころから商業的な才覚が求められていた。20代前半で彼はパリで行われた万国博覧会へ訪れ諸外国と日本の経済力の差を知り愕然とする。それも当然、日本は鎖国政策を200年続けており、日本の技術力は200年前の物と全く変わっていなかった。最先端の技術を披露するはずの万博で200年前の物を持ち込んだ日本人たちの焦りは尋常ではなった。そのかいもあってか渋沢栄一は日本へ戻り、急速に日本の経済力を強化するために、大蔵省へ入省する。彼は官僚として様々な資本経済に必要不可欠なものを作り上げる。一例を挙げると、国立銀行、保険会社、インフラ企業など多岐にわたる。総数は500を超えている。その中でも国立銀行の創設には尽力しており、これまで銀行という感覚のない日本に彼はヨーロッパを真似て銀行を導入した。現みずほ銀行などのメガバンクを筆頭とし、多くの地方銀行を開行した。彼が作り上げた企業の総資産は軽く億を超えるが、彼は一切の企業を私有化せずに、経営のノウハウだけを与えた。 現代日本にも彼のような、柔軟な思想を持ち、私欲ではなく国のために尽くす存在が必要だと考えた。衰退を初めているこの国にも起爆剤の役割を果たす人物の登場を期待したいと強く思う。レポートを読み合った生徒のコメント

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