スーパーグローバルハイスクール研究報告書
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−89−第3部SGH実施報告Ⅲ シンガポール研修1 はじめに 本校啓明コースは第2学年の生徒全員を対象に3泊4日の行程(うち1泊は機内泊)でシンガポール研修旅行を実施している。この研修は、啓明コース第2学年のSGH活動である「グローバル課題研究」の一環として位置づけられている。グローバル課題研究の授業は、隔週土曜日に2限連続の時間(年間で1単位となる)を設けて実施されている。活動内容は、4つの探究課題(国際開発、国際ビジネス、環境・エネルギー、医療福祉)をもとに、各生徒がそれぞれの研究テーマを設定し、共通または類似のテーマを探究する生徒で班を構成する。そして、テーマに対する事前のリサーチや分析を経て、SGH課題研究論文を班員共同で執筆する。生徒たちの研究内容は必ずしもシンガポールに関わるものではないが、本研修を通じて以下で述べる目的を達成し、グローバル課題研究の充実を図ることはもちろん、グローバルリーダーたる素質を身につけることを期待している。以下では研修の目的を示したうえで、研修を通してグローバルコンピテンシーのどの能力の向上につながったと考えられるか、生徒の自己評価から分析する。2 研修の目的 (1)多民族・多宗教国家であり、著しい経済発展を続けるシンガポールについて学び、アジアの一員として日本が持続可能な開発を続けていくためには、何が必要であるかを考える。 (2)班単位で協力してテーマに基づいた研究・発表を行い、また班別行動を通じて、計画性や協調性を養う。 (3)各自の研究テーマに基づいて学習した内容を訪問先の施設・企業の方々に対して発表し、フィードバックを通して知見を広げる。 (4)施設見学や現地学生と英語でのコミュニケーションを通して、国際社会における英語の必要性について実感するとともに、国際的視野を身につける。3 研修の行程 ・1日目  空路にてシンガポールに到着。夕食後に現地のJTBにお勤めの方を講師として招き、「海外で日本人が働くこと」というテーマでご講演をいただいた。 ・2日目  シンガポールの大学で学ぶ学生を各班1人ずつガイドに招き、班別研修を実施した。各班で決定した行動計画をもとに、シンガポール市内の施設やエスニックストリートを訪問した。生徒たちはモスクやチャイナタウンなどを訪れ、多文化共生について学ぶことができた。 ・3日目  SGHの探究課題別にシンガポール市内の3つの施設・企業(IBMシンガポール、アジアメディカルセンター、日本科学技術振興機構シンガポール事務所)に訪問した。訪問先では、各機関・企業の取り組みを学ぶだけでなく、これまでの課題研究の成果をプレゼン発表させていただき、質疑応答を通して、研究内容をより深めることができた。 ・4日目  空路にて日本へ帰国する。4 研修によって向上が期待できるグローバルコンピテシー 対象生徒はシンガポール研修に参加した啓明コース第2学年の生徒108名である。研修後に「シンガポール研修と事前・事後学習によって、7つのグローバルコンピテンシーのうちどの能力の伸ばすことができたか。」という自己評価アンケートを行った。

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