2024中部大学学園パンフレット
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国際的にも著名な研究者を数多く擁する中部大学では、人類の未来を拓く先端研究が進められています。1.画期的な分子標的薬の実現に挑む-ペプチドの革新的合成- 「ペプチド研究センター」(山本尚センター長)では、タンパク質断片のペプチド分子を従来よりも格別の低コストで合成する技術開発に取り組んでいます。ペプチドは経口薬用の小分子と注射で投与する抗体医薬品用の高分子の中間程度の大きさです。経口で摂取でき、病気の細胞だけに集まる高い治療効果を持ち、しかも副作用がほとんどない全く新しい医薬品として期待されていますが、合成コストが極めて高いため現在のところ医薬品には簡単には使えません。ペプチドを安価に量産し、人々の健康寿命向上に貢献することを目指しています。2.AIで社会を支える研究を推進-人と共に進化するAI- 人工知能(AI)も中部大学が力を入れる研究分野の一つです。理工学部AIロボティクス学科の藤吉弘亘教授、工学部情報工学科の山下隆義教授、AI数理データサイエンスセンターの平川翼講師らは、人と共に進化するAIに関する研究に取り組んでいます。その一例として、医師や熟練技術者などエキスパートの専門知識で性能を高めた教育用のAIから、その判断根拠を学習する教育アプリを開発しました。AIに埋め込まれたエキスパートの判断根拠を学習者が効果的に学習することが可能となり、医療分野において医学部生や研修医が患者の画像から疾患を見つけることへの教育や、新人の技術者が欠陥部品を見分ける、農業従事者が作物の育成状況や病害を判断するなど、その他の産業領域での教育への展開も期待されています。3.エネルギー問題・防災減災に挑む-素粒子ミュオンの応用- 「ミュオン理工学研究センター」では、電子に比べて約200倍の質量を持つ素粒子「ミュオン」に関する基礎と応用の研究を推進しています。「ミュオン触媒核融合研究」は持続的エネルギー生成技術への応用、「宇宙線ミュオン研究」は大規模自然災害に対する防災減災への応用が期待されており、ミュオン応用技術の社会実装により地球規模の問題解決に貢献することを目指しています。4.気候変動・複合災害に挑む-デジタルアース(俯瞰型空間情報基盤)- 「国際GISセンター」(福井弘道センター長)は、人工衛星や航空機、ドローン、各種センサー等による時空間情報の収集と処理、予測技術の開発を進めています。現在、デジタルツイン(自然、生態、社会を再現するデジタルレプリカ・将来予測シミュレータ)を構築して、気候変動への適応や防災・減災に応用するなど、GXの社会実装による地域の豊かな持続性の実現に取り組んでいます。5.情報処理の高速化に挑む-量子コンピュータの基礎学理- 小澤正直特任教授は、量子情報科学の基礎理論である量子インストルメント理論を確立し、高効率、高精度な量子通信、量子測定、量子計算に必要とされるリソースと理論的性能限界に関する研究を進め、「小澤の不等式」によって物理学の基本法則である不確定性原理を修正するなどの成果を挙げてきました。量子コンピュータの実現や心の不確定性の解明につながる研究を進めています。世界が評価する研究力 中部大学創発学術院は2016年に、当時の飯吉厚夫理事長と山極壽一京都大学総長との合意に基づき、森重文京都大学特別教授(1990年フィールズ賞)をはじめ著名な研究者を中部大学に招聘する形で設立されました。以来、津田一郎教授(中部大学名誉教授、現札幌市立大学特任教授)を中心として、特に数理科学関連分野の先端的研究を展開してきました。 学校法人中部大学では、アカデミックブランディングを掲げ、学園の強みであるユニークな研究の数々を広く社会にアピールする活動を行っているところですが、創発学術院はアカデミックブランディングの旗手の一つと位置付けられます。 数学および数理科学的解析手法は、理工系の分野に留まらず、生命科学や人文社会科学のさまざまな分野においても今や欠かせないものとなっています。創発学術院はAI数理データサイエンスセンターと共に、中部大学の数理科学・情報科学の研究教育を牽引する立場にあります。また、高校生や中学生を対象とするJST数学キャラバンを実施して、併設校の生徒たちに最新の数学に触れる機会を提供しています。 インハウスの研究教育活動としては数理科学関連分野に注力する一方で、定期的に開催している「創発セミナー」では多様な分野の第一線の研究者による講演と討論を通じて、中部大学の教員および学生が研究の視野を拡げることに貢献しています。また、全学共通教育科目「科学技術と社会」の中でオムニバス形式の「創発講義」を開講し、学生が多様な分野の学術知の先端に触れる機会を提供しています。■2023年度科学研究費配分総額 愛知県内私立大学2位■基礎生物学研究所・生理学研究所との包括協定締結■「THE世界大学ランキング2024」1501+(国内私立大学25位)■「Nature Index 2024」国内大学62位 (東海地区私立大学で2位) Earth & Environmental分野 国内私立大学2位中部大学創発学術院 数理的手法による新展開ペプチド研究センター長山本 尚 特定教授創発学術院 家 泰弘 院長国際GISセンター長福井 弘道 副学長AI数理データサイエンスセンター小澤 正直 特任教授ミュオン理工学研究センター岡田 信二 教授AIロボティクス学科藤吉 弘亘 教授研究トピックハイライト(先端研究)評価される研究力17 Chubu University

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