学校法人中部大学パンフレット2025
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国際的にも著名な研究者を数多く擁する中部大学では、人類の未来を拓く先端研究が進められています。1.画期的な分子標的薬の実現に挑む-ペプチドの革新的合成- 「ペプチド研究センター」(山本尚センター長)では、タンパク質断片のペプチド分子を従来よりも格別の低コストで合成する技術開発に取り組んでいます。ペプチドは経口薬用の小分子と注射で投与する抗体医薬品用の高分子の中間程度の大きさです。経口で摂取でき、病気の細胞だけに集まる高い治療効果を持ち、しかも副作用がほとんどない全く新しい医薬品として期待されていますが、合成コストが極めて高いため現在のところ医薬品には簡単には使えません。ペプチドを安価に量産し、人々の健康寿命向上に貢献することを目指しています。2.AIで社会を支える研究を推進-人と共に進化するAI- 人工知能(AI)も中部大学が力を入れる研究分野の一つです。理工学部AIロボティクス学科の藤吉弘亘教授、工学部情報工学科の山下隆義教授、AI数理データサイエンスセンターの平川翼講師らは、「機械知覚とロボティクス」に関する研究グループ(Machine Perception and Robotics Group (MPRG))において、「感覚→認識→決定」のプロセスとなる視覚機能をロボットに実現することを目標に研究に取り組んでいます。機械学習を用いた物体検出・人物画像解析等を中心とした画像認識全般の分野で、企業とも連携しさまざまな基礎研究と応用研究を行っています。実際に画像解析型映像監視システム、人物を検知するセンサーライトカメラや医療用の画像解析システム等の製品化という成果につながっており、研究の社会実装が進んでいます。3.素粒子ミュオンで挑む地球規模課題の解決 「ミュオン理工学研究センター」では、電子の約200倍の質量を持つ素粒子「ミュオン」の特性を活かし、基礎科学の発展に貢献するとともに、エネルギー・環境・防災・宇宙など、地球規模の社会課題に挑む技術開発を進めています。加速器で人工的に生成したミュオンを活用し、「ミュオン触媒核融合」による持続可能な次世代エネルギーの実現や、ミュオン特有の信号を応用した非破壊元素分析など、加速器ミュオンを基盤とした先端技術の研究を推進しています。一方、自然界から降り注ぐ宇宙線ミュオンの高い透過力を利用し、地中構造の可視化や宇宙天気の予測による社会インフラの保全など、防災・減災への応用にも積極的に取り組んでいます。最先端の実験技術と理論研究を融合させ、基礎から応用、そして社会実装へとつながる新たな理工学の創出を目指しています。4.気候変動・複合災害に挑む-デジタルアース(俯瞰型空間情報基盤)- 「国際GISセンター」(福井弘道センター長)は、人工衛星や航空機、ドローン、各種センサー等による時空間情報の収集と処理、予測技術の開発を進めています。現在、デジタルツイン(自然、生態、社会を再現するデジタルレプリカ・将来予測シミュレータ)を構築して、気候変動への適応や防災・減災に応用するなど、GXの社会実装による地域の豊かな持続性の実現に取り組んでいます。世界が評価する研究力 中部大学創発学術院は2016年に、当時の飯吉厚夫理事長と山極壽一京都大学総長との合意に基づき、森重文京都大学特別教授(1990年フィールズ賞)をはじめ著名な研究者を中部大学に招聘する形で設立されました。以来、津田一郎教授(中部大学名誉教授、現札幌市立大学特任教授)を中心として、特に数理科学関連分野の先端的研究を展開してきました。 学校法人中部大学では、アカデミックブランディングを掲げ、学園の強みであるユニークな研究の数々を広く社会にアピールする活動を行っているところですが、創発学術院はアカデミックブランディングの旗手の一つと位置付けられます。 数学および数理科学的解析手法は、理工系の分野に留まらず、生命科学や人文社会科学のさまざまな分野においても今や欠かせないものとなっています。創発学術院はAI数理データサイエンスセンターと共に、中部大学の数理科学・情報科学の研究教育を牽引する立場にあります。インハウスの研究活動として、多様な分野における数理科学的手法の適用・開拓を推進しています。 定期的に開催している「創発セミナー」では、多様な分野の第一線の研究者による講演と討論を通じて、中部大学の教員および学生が学問を俯瞰することにより学術的視野を拡げる場を提供しています。全学共通教育科目「科学技術と社会」の中でオムニバス形式の「創発講義」を開講しています。また、併設校においてはJST数学キャラバン、セレクト講座、特別講義を実施するなどして、生徒が数学をはじめ多様な学問分野に触れる機会を提供しています。■2024年度科学研究費配分総額 愛知県内私立大学2位■基礎生物学研究所・生理学研究所との包括協定締結■エヌビディア合同会社と学術連携協定を締結(2024年7月 中部地方の大学で初)■「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」に新潟大学の連携機関として採択中部大学創発学術院 数理的手法の展開ペプチド研究センター長山本 尚 特定教授創発学術院 家 泰弘 院長国際GISセンター長福井 弘道 教授ミュオン理工学研究センター岡田 信二 教授AIロボティクス学科藤吉 弘亘 教授研究トピックハイライト(先端研究)評価される研究力17 Chubu University

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